ADHDの日課

19歳〜。苦手な日課です。ADHD(手帳は二級) 名前欅 流了リ(けやき

遠距離恋愛(妄想)

わたしには、16歳年上の社会人の彼がいる。

明日から私たちは、彼の仕事で人生初の遠距離恋愛をすることになった。
ただ仕事の忙しい彼には時間がなく、わたしたちが会う頻度は遠距離であろうとなかろうと、
少なめだった。

今日はそんなわたしたちの、久しぶりのデートだった。

一緒に行こうと決めていたカラオケを、明日からしばらく会えなくなる寂しさでやめた。

何もすることのなくなったわたしたちは、2人で黙って歩いた。
いつものわたしなら「折角のデートなのだから」と黙っている時間はただ、勿体ないものだった。
しかし、今のわたしたちは会話もせず目も合わせず、手も繋がない。

わたしは彼との間に今までにない、不思議な空気を感じた。それは危機感のようなものだった。

いま2人で歩くわたしたちの間には、何とも言えない距離があって、その隙間に少しずつ人が流れ込んできた。

「「まるで2人で歩いていないみたいだ」」と思った。

わたしは慌てて彼の存在を確かめる。彼はいつもと変わらず、何も考えていないようだった。

周りの人には、わたしたちがつき合っているようには見えないだろう。

途端、、わたしたちの間に急ぎ足の自転車が走った。
自転車が斜め前の彼を隠した時、悲しくなった。

わたしは彼と付かず離れずゆっくりと歩いた。
わたしたちの距離感はどれだけ歩いても変わることはなく、
ふと遠くを見ると木々の間に夕焼けが見えた。

「まるで太陽がおっこちてきたみたい!」

大きくてまんまるな光に感動した。無意識に彼の方を見てしまった。

それを伝えたくて、そして、彼が笑ってくれるかもしれないという淡い期待を抱いて。
しかしわたしの期待は一瞬にして砕かれ、すぐに現実へと引き戻された。

わたしたちの間には何とも言えない距離があって、それを埋めることは容易くない。
明日から、わたしたちは離ればなれにもなるのだ。

きっと怒りでもない、すごく寂しいわけでもない、愛情がないわけでもない、この時間にお互い満足もしていない。それなのに、私たちには何かが出来なかった。

慣れてきた今の距離感に、ごくり・・・、と涙をのんだ。
分かりきっていたことに落胆した。
ただ一言「きれいだね」と言えなかった。
単純な会話も出来なかった。
現実から目を背けて二人で楽しく笑い合うことも、今更したくなかった。

こうしてただ歩いている間、わたしは時間が刻々と過ぎていることを痛いくらいに感じた。
息苦しくなるもどかしさと疲れた足を持ち上げて階段を昇っている時、
困ったように彼が「結構歩いたね」と言った。わたしはただうなずいた。
彼がやっと口を開いてくれたのに、わたしの心は少しも動かなかった。

今日がわたしを、ひたすら傷つける。何も出来ないもどかしさが責める。

いつまでも核心をつけないのならば、いっそ彼に抱きついてしまおうか。まだ間に合うだろうか。

けれど考えることに疲れてわたしは、ただひたすら歩いた。彼のことなんて忘れたように歩いた。

すると私たちはやっと同じ気持ちになれた気がした。

空しさを感じが、もうすぐ1日が終わる。

この冷たい時間ももうすぐ終わる。

欅流リ

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